最近の小学校では、あだ名禁止ルールや「さん」付けをルール化する学校が増えてきました。
あだ名禁止によっていじめが減るという意見もありますが、本当にそうなのでしょうか?
あだ名とニックネームの違いってなんだろう?あだ名禁止の学校の割合はどれくらい増えているんだろう?と気になったので調べてみました。
あだ名・ニックネーム・そしていじめについて考える際に参考になれば幸いです。
あだ名とニックネームの違いを考えてみた!
あだ名についてコトバンクで調べてみると以下のように出てきました。
人が本名以外にほかから呼ばれる通称。シコナや,アザナもこれに近い。一般に人の容貌,性質,行動などの特徴によって名づけたものが多く,悪口に近いものも少くない。古くからあったが,明治以後では学校の先生に生徒がつけることがよくあり,夏目漱石の『坊つちやん』に有名である。また秋田県能代市では風習としてあだ名をつけることがよく知られており,人だけでなく町名にもつけている。たとえば静かでよく寝られる町を「朝寝っ町」などと呼んだ。なかには親子相伝のものや家名に近いものもある。
引用:https://kotobank.jp/word/%E3%81%82%E3%81%A0%E5%90%8D-25794
コトバンク、分かりづらい・・・!!^^;
ということで、分かりやすい説明をしてくださっている方がいたので、引用しています↓
ニックネームとあだ名って実は別物。
ニックネームは主に名前が由来(ニノ・ミキティなど)で、あだ名は身体的特徴やエピソードが由来(チリチリ頭・せんみつ など)。狭義でのあだ名NGは賛成だが、ニックネーム(愛称)までやめようというのはやりすぎだと思う。
— デカマスター (@DEKAMASTER0311) October 28, 2020
ニックネームとは、主に名前が由来となっているもの。
中川翔子さんの「しょこたん」もニックネームにあたりますね。
あだ名とは身体的特徴・エピソードも含まれるものです。
顔が細くてキツネ顔だから「キツネ」とかもそうですね。
「キツネ」は一度小学校のときに実際に私が言われたことがありますが、嫌な気持ちになりました…><
また、こんな風に解説している方もいました。
ニックネーム=愛称
愛称は 親しみを込めて肯定的に使われるものです
あだ名 はバカにするようなものも含みます引用:https://hinative.com/ja/questions/13092101
確かに・・・!!
ニックネーム=「愛称」、つまり親しみを込めて肯定的に使われるものなんですね。
あだ名も、肯定的に使われる場合もありますが、確かに相手をヤジったり嫌味を言う時にも使いますよね・・・^^;
さらに、国柄について絡めて解説している方もいらっしゃいました。
本名だと言いにくいとか親しみを込める意味で、友人関係で呼び合う場合の特別な呼び方という点では同じです。 ニックネームの場合、エリザベスをベスと読んだり、ニコルソンをニックにしたりと大抵本名の短縮版です。 あだ名の場合、普通は肉体的もしくは性格上の特徴など見た目から付けられたものを言います。 ただ、これは愛称の付け方がお国柄で違うという事であって、愛称であるという点での違いはありません。元々の本名の付け方からして漢字を使用する事の多い日本では自然や性格などを表す名前になりやすく、欧米では名前自体に何かの意味を持つ事は少ないので、愛称の付け方もそれに準じているという違いです。 あだ名を英訳すればニックネームとされるのは間違いないでしょう。
引用:https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1120646501
あだ名とニックネームについてだいぶ違いが見えてきました。
- あだ名・・・名前が由来だけでなく、身体的特徴を含む。親しみをつけて使用する場合も、バカにする場合も含む。
- ニックネーム・・・本名の短縮版がほとんど。主に名前が由来となる。親しみを込めて使用する場合に限る。
ということなんですね。
悪意を込めて使われる可能性のあるあだ名は、「あだ名」ではなく「悪口」となり、その子の心に傷をつけていじめとなっていくのだという印象を受けました。
親しみを込めて、本名にちなんだ愛称をつける場合には、いじめへと発展しないのでは、という想像もできます。
あだ名禁止の学校の割合はどれくらい?メリットやデメリットは?
あだ名禁止の小学校が増えてきている、とニュースになっていました。
実際にあだ名禁止の学校の割合はどれくらいなのか調べてみましたが・・・残念ながら、現時点では分かりませんでした。
私が小学生のとき(20年くらい前ですが)には、そんなルールができるとは思いもよりませんでした・・・。
ニュースになっているので、あだ名禁止の学校の割合は増加傾向であるとは予想できます。
文部科学省では、あだ名禁止ルールについて一律に方針や通知は出していないようです。
よって、学校の校則を決める校長が判断しているのが現状なのでしょうね。
または、ひどいあだ名によっていじめに発展した場合に、各クラスによって先生たちが判断して決めているのではないでしょうか。
本当にあだ名禁止ルールが子供たちにとって良いのか悪いのか・・・メリットとデメリットを考えてみました。
あだ名禁止の学校のメリットは?喧嘩が減る
ある埼玉県の教員はメリットとして喧嘩が減ったことを挙げています。
「私も自分のクラスでは生徒同士に『さん付け』をさせています。そのメリットとして、明らかにケンカが減った、という教師としての実感があるからです。相手を怒鳴る前に自分の頭の中に“さん”が浮かぶと、ちょっと冷静になるんでしょうね。
あだ名で呼ぶことは、いまの小学校では考えられません。それくらいイメージが悪いのです。理由は、あだ名で呼ぶことでいじめと捉えられる可能性があるからです」
引用:https://blogos.com/article/297120/
確かに、「さん」と呼ぶことで相手を自分より下に見るということが減るかもしれません。
お互いに丁寧な態度で接することにつながるのかもしれません。
身体的特徴をあげつらえた悪質なあだ名については、ルール化することである程度は押さえられる可能性がありますね。
あだ名禁止の学校のメリットは?「さん」呼びで性別の多様化へ
あだ名禁止ルールと同様に、「さん」呼びルールも広まっています。
現代では、性別も「男の子」「女の子」だけではありません。
「男の子」だから「くん呼び」、「女の子」だから「ちゃん呼び」という呼び方では埋められないものがありますよね。
小学生ともなれば、自分の性を認識している子も多いでしょう。
そのような子も受け入れやすいように「さん」呼びはとても良いと思います。
性的マイノリティの方から「性別の欄に『男・女・その他』があると受け入れられている感じがする」という言葉を聞いたことがあります。
学校でも性別記入欄を設ける場合には、そのような表現が広がるといいなと思いました。
もちろん「さん」付けは、親世代から見たら「超違和感」「本当に仲が良いのか謎」「逆に距離が出来て仲良くなれなそう」とも思ってしまいますよね^^;
学校・授業中では「さん」付けルールにして、休み時間やその他は子供たちの自由、としても良いのかもしれませんね。
何が一番良いのかはきっと考えつづける必要があるのでしょうね。
あだ名禁止の学校のデメリットは?子供の考える力が減る
一方で、私は安易にあだ名を禁止することのデメリットも大きい気がします。
実際にこんな声もありました。
「私が担任を受け持つクラスの男子生徒同士がケンカになった際、一人の生徒が思わず相手を呼び捨てにしたんです。そうしたら相手の子が『先生! 〇〇さんが呼び捨てにしてきました』って私に告げ口してきたんです。“えっ、そこ?”って戸惑ってしまいました」
引用:https://blogos.com/article/297120/
単に「○○さん」と呼べばそれでいいのでしょうか?
大人同士だって、職場でお互いに呼び捨てで言い合うことはなく、「○○さん」と呼び合っているのに、どちらかが見下されている関係はないでしょうか。
表面上では丁寧な言葉遣いをしていても、内心では相手を見下していたり、傷つけるような言動をすることだってありますよね。
呼び方さえ気をつければいじめにはならない、ということではないと思います。
あだ名によって広がっているいじめがあるならば、そのクラスであだ名禁止ルールを作ることは良いと思います。
しかし、ルールを決める際に「なぜそのルールが必要なのか」を子供たち自身と考える必要があると思うのです。
そうでなければ、決していじめはなくなりません。
相手を傷つける言葉なのか、相手がどう思うのかを想像したり、考えたりすること・過程が大事だと思います。
そして、それは学校だけでなく家庭でも実践していくべきことだと思います。
あだ名・ニックネームをつけるときに気をつけたいこと
あだ名・ニックネームをつけるときに気をつけたいことを考えてみました。
まずは、決めたあだ名・ニックネームについて、その子自身がどう思っているかを確認することが大事だと思います。
あだ名・ニックネームってその場のノリとかで決まってしまって、後から言い出しにくいことも多いですよね。
しかし、「○○って呼びたいんだけど、あなたはどう思う?OK?」ということを確認するのが大事だと思います。
相手も自分も大切にするコミュニケーション方法をアサーションと言いますが、
①私はこう思う。
②あなたはどう思う?
③どうする?(物事を決める)
という順番で話を持っていくのです。
そして、聞かれた方も、
①私はこう思う。
から始めるのです。
日本人はお国柄、相手のことをうかがうのは得意ですが、「私はこう思う」を言えないことが多いですよね。
だから、いじめられている子がいて、「本当は違う」と思っていつつも空気を読んでその場をやり過ごしていじめが陰湿化・長期化していくのではないでしょうか。
私は子育てするときに、「私はこう思う。あなたはどう?どうする?」という言い方を大事にしています。
小さいときから自分の意思をはっきりと伝えられる環境を作ることが大事だと思います。
そして、同時に相手がOKかどうかもきちんと聴くのです。
自分も相手も大切にするコミュニケーションを習慣化していくことで、自分で善悪を判断する力もついていくのではないでしょうか。
名前と関係ないあだ名をつけるのはアリ?
個人的には名前と関係ないあだ名をつけるのもOKだと思います。
前提条件として、呼ばれる方が合意していれば、ということですが。
以前ネット上の記事でものすごいキラキラネームをつけられて、呼ばれるたびに傷ついて悲しんでいる子がいることを知りました。
その子の友達が、名前とは違うあだ名・ニックネームを一生けん命考えてくれて、その子も「それがいい」と喜んで、その子のあだ名・ニックネームが決まったそうです。
このように、呼ぶ側と呼ばれる側で合意がとれていればなんの問題もないですよね。
キラキラネームを呼ばれるたびに傷ついていた子は、むしろそのあだ名・ニックネームによって救われたでしょう。
(もちろん、キラキラネームをつけること自体にも議論の余地がありますが)
このことからも、単に「あだ名禁止ルール」「さん付け」で決めてしまえば平和になるわけではないことが分かります。
最後にいじめの対策について、中学2年生の子が根本的な問題をとらえていると思ったのでご紹介しますね。
小手先のことは簡単だし分かりやすいけど、本質的な解決とはほど遠い。この新聞記事のように根本的なことを扱うようにしないと。
「中2よる『学校のいじめ対策は間違っている」内閣総理大臣賞 pic.twitter.com/YuYUSb9nsX— synコーチ💎 (@syn_coach) October 28, 2020
いじめがどうして起こってしまうのか、何がいけないのか、自分たち一人ひとりはどうしていけばいいのか、子供たちに何を伝えて一緒に考えていけばいいのか・・・
今後も考え続けていきたいですね。
最後までお読みいただきありがとうございました。